高校生のAさんは、アルバイト帰りに自転車で道路を走行中、直進してきた自動車と衝突し転倒、第4胸椎脱臼骨折、胸髄損傷により両下肢麻痺等の重傷を負われました。
後遺障害1級1号の認定を受け、相手方保険会社からの示談提示があったものの、その内容に疑問を持たれてご家族がサリュにお越しになりました。
サリュでは、まだ十代の若者が今後一生大変な障害を負って生きていかなければならないという事実を重く受け止め、ご家族とご本人様に対し、しっかりとした賠償を求めていくことをお約束しました。
まず、相手方保険会社の示談案を検討したところ、当初の相手方保険会社からの提示額では、将来治療費、将来通院交通費、将来通学交通費、近親者慰謝料が計上されていないなど、かなり少なく見積もられていました。また、重度後遺障害であるため、これまでに支弁された費用もかなり高額かつ費目も多岐にわたるため、計算はかなり煩雑なものとなりましたが、担当弁護士、スタッフが一丸となって作業をすすめました。
その上でご本人様の現状も確認、検討のうえ注意深く損害額を算定し、相手方保険会社との交渉をすすめ、ご本人様方に有利な金額を引き出すことができました。
また、Aさんのお父さんが人身傷害保険に加入されており、Aさんの事故であっても、お父さん加入の同保険からも支払を受けられることがわかりました。人身傷害保険は、被害者に過失がある場合、本来、加害者側から支払いを受けることができない過失部分の損害を全額回収できる可能性があります。
本件事故でも、Aさん側に過失があったため、人身傷害保険を先行して請求することでAさんの過失部分の損害を含めた全損害額を回収することができる状況でした。しかし、Aさんのご家族が加入する人身傷害保険会社は、ご家族にその内容をきちんと説明していませんでした。そこで、サリュは、約款を確認したうえで人身傷害保険金の請求をすることにしました。
しかし、人身傷害保険会社との調整が難航しました。被害者が人身傷害保険から保険金を受け取った場合、人身傷害保険会社は、被害者の相手方に対する損害賠償請求権を代位取得するのですが、被害者に過失がある場合、この代位する範囲について、数年来、問題になっていました。内容が難解になりますので詳細は省きますが、この論争については、平成24年に出された最高裁判例により、複数あった説のうち、被害者に最も有利な説(訴訟基準差額説)で決着しています。ところが、Aさんの人身傷害保険会社は、被害者に不利な説をとる見解を呈してきました。最高裁判例後であるにも関わらず、保険会社の都合を優先した立場であり、とても許せるものではありませんでした。サリュは、具体的に前記判例があることを示したうえで、厳しく交渉、説得し、何とか訴訟基準差額説をとらせることができました。
交通事故においては、相手方保険会社のみならず、ご自身の加入されている保険会社であっても、必ずしも適切に対応するとは限りません。特に重度後遺障害の場合には得られる金額に大きな差が生じることも考えられます。
ご家族が大変な障害を負われたなかで各者と交渉することは一筋縄ではいきません。どうぞ、弁護士法人サリュにご相談ください。必ずお力になります。