Vさんは、妻のXさん宅と別居していましたが、生活費は毎月かかさずにXさんに手渡し、娘とも定期的に食事などをしていました。
Xさんと娘はVさんがどこで生活しているかは、Vさんが教えないので知りませんでした。
そのような状態が数年続いたある日、Xさん家族に、Vさんが交通事故に遭い、死亡したとの連絡が入りました。
Xさんと娘さんが、病院に駆けつけると、Vさんの妻を名乗るAさんが病院におり、Xさんとその娘さんは、VさんがAさんと生活をしていたことを知るに至りました。
Vさんの突然死に加えて、妻と名乗るAさんの存在と態度に大きなショックを受けたXさん家族ですが、これに追い打ちを掛けるように、Aさんが、VさんとXさんの夫婦は既に破綻している以上、事実上の妻であるAさんがVさんの死亡賠償金を受け取るべきだと主張し、弁護士を立てたのです。
そこでXさんは、サリュを訪れ、賠償問題について全面的に依頼をしました。
Aさんは、早々に加害者に対して訴訟提起していたので、Xさんと娘さんは、Vさんの法定相続人として、Aさんと加害者の訴訟に参加しました。
Aさんは、長年Vさんと同居していたこと、Vさんの死亡前には相当額の生活費を得ていたことを主張し、さらにはVさんはAさんと大変仲良く暮らしており、反面XさんとVさんの夫婦関係は破綻していたなどと主張していました。
サリュでは、VさんとXさんの家族関係が壊れてしまった原因がAさんにある以上、死亡直前の生活状況がどうであれ、法律婚を優先すべきだと主張しました。
裁判は、双方の主張が対立したまま尋問手続きへ移行しました。
その尋問の場で、Vさんは収入が安定しないときでも、Xさんと娘さんには、毎月かかさずに生活費を払っておりましたが、反面Aさんには、死亡直前の時期以外はあまり払っていなかったことが明らかとなりました。VさんがXさんや娘さんの成長を、離れていても大切に思っていたことを知ることができました。
結果として、裁判所は、Vさん死亡時に共同生活を送っていたAさんにも賠償金の取得を認めましたが、Xさん家族は、Aさんをはるかに超える多くの賠償額を獲得することができました。
Xさんと娘さんとしては、賠償金を無事に取得できたことはもとよりですが、それ以上に、裁判を通じて、Vさんが自分たちを、大切に考えて行動してくれていたという事実を再確認することができた点に、大変満足していただけました。
サリュとしても、Vさんが、決してXさんと娘さんを見捨てたわけではないという、Vさんの気持ちを明らかにできたことは大変良かったと思っています。